2012年6月16日土曜日

「安全神話」・・原発の次はオスプレイか?


アメリカが日本に持ち込んでくる物には、ろくな物がない。その最たる物が原発で、あれほどの被害を日本にもたらしておきながら、アメリカはいまだに製造者・導入者としての責任を一切果たそうとしていない。そして今また、名だたる欠陥輸送機「オスプレイ」を、あろうことか「世界一危険な空港」を呼ばれている普天間基地に配備しようとしている。数日前も、事故を起こしておきながら、まだ「安全」とシラを切るあたりは原発の二番煎じだが、犠牲になるのは日本人であり、黙っているわけにはいかない。

■オスプレイの別名は「未亡人製造機」


アメリカ軍は、よほどこの種の兵器が欲しかったのだろう。ヘリコプターの垂直離着陸と固定翼機の速度・航続距離を合わせ持った機体である。オスプレイの起源は、第二次大戦直後の1940年代にさかのぼり、半世紀以上も研究、開発を重ね、何度かの事故を起こしては、生産中止となるが、また甦って2005年にやっとのことで配備にこぎ着けている。

オスプレイは、表面化している事故だけでも8回あり、試作段階から「未亡人製造機」と呼ばれていた。なんとか「名誉挽回」とばかりに、イラクで上院議員時代のオバマを搭乗させて芝居を打ったりしたが、その後も事故はいっこうに収まらない。当初、海兵隊要人輸送ヘリコプターの老朽化に伴い、後継機としてオスプレイが候補にも挙がったが、さすがに海兵隊幹部も自分たちの命が惜しくなったのか、はやばやと候補から除外してしまった経緯もある。逆に言えば、兵士や市民の命など二の次というわけである。このあたりは、原発を事故の影響が少ない過疎地にわざわざ持ってくるあたりに似ている。

そもそも飛行中に、垂直運動と水平運動を切り替えること自体、かなりの無理があることは素人目にも明らかなのだが、このオスプレイの場合は2つのエンジンが機体重心から離れているので、さらに安定性を欠いた機体となっており、機体そのものより構想・設計段階の欠陥と言わざるをえない。では、アメリカはなぜ、このような欠陥機を「安全」と決めつけ、普天間や岩国への配備をごり押ししようとするのか?

■「エアシーバトル」


砲弾の飛び交う前線に兵力を投下するオスプレイ(想像図)
それは、最近の報道でもあったように、全世界に展開しているアメリカ軍の6割をアジア方面に移動させ、「エア・シーバトル(空海戦略)」と呼ばれる拠点となる日本やフィリピン、オーストラリアなどの島々の基地と空母機動部隊によって力尽くで中国を封じ込めようとする戦略に基づいている。ここでは、過去の冷戦時代に、地続きのヨーロッパで採用されていた「エアランドバトル(空陸戦略)」と違って、太平洋上の海を隔てた拠点間を結ぶ兵力を如何に早く大量に運べるかが分かれ目となる。

そこで、遅い船舶輸送ではもなく、砲弾の飛び交う前線でも離着陸できる航続距離と速度を兼ね備えた輸送機=オスプレイが決定的な意味をもつ。そのことは、米軍が全世界に配備しようとしている458機のオスプレイの内訳をみれば一目瞭然である。海兵隊用が360機で約8割、特殊作戦軍向けの50機を合わせれば、実に9割近くが「即応戦力」用となっており、オスプレイが「エアシーバトル」の中核である海兵隊にとって、必要不可欠な兵器であることは間違いない。

■「対中封じ込め」で漁夫の利狙うアメリカ


アメリカ軍が、オスプレイを岩国や普天間の基地に配備する事自体、すでに日本を対中国の前線基地として利用することを宣言したに等しい。それだけでなく、自衛隊も司令室を在日米軍の横田基地内に移動させたり、「北朝鮮ミサイル騒ぎ」で兵力を沖縄方面に移動したり、民間の空港や港を米軍が自由に出入りできるようにするといったことが着々と行われている。

そうして、中国の鼻先に兵力を並べては、尖閣諸島問題のようにあちこちに火種を作っておいて、アジア人同士を戦わせ、アメリカ自身はといえばハワイや米本土あたりでじっくり「高みの見物」を決め込もうという魂胆なのである。二度の世界大戦でも、そうして漁夫の利を得てのし上がったアメリカに、三度も騙されて血を流すことはない。

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